1月5日のFOMC議事録(昨年12月開催分)の公表以降、FRB高官らの相次ぐタカ派発言に加え、先週は有識者らからも金融引き締めペースを巡って信じられないようなタカ派想定の発言が連日で飛び出した。
これだけ、悪材料が出れば、相場にもかなり織り込まれたのではと考えられるが、相場の下落基調が速いため、投資家の含み損益悪化を通じた資金の逆回転に歯止めがかかりにくい様子。足元はファンダメンタルズに基づいた要因よりもこうした需給要因が占める要素が大きく、FOMCの結果公表直前まで相場の動きには警戒が必要だろう。
FRBの対応に苦慮している投資家は個人だけではないだろう。バンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した1月のグローバルファンドマネジャー調査によると、機関投資家の56%がインフレを「一時的」と回答し、資産配分では、株式の債券に対する相対選好度が2011年2月以降で最も高くなったという。ここから窺えるのは、機関投資家の多くがインフレは次第に鈍化し、結果、FRBが想定ほどには急いで引き締めに動くことはないと予想しているもよう。
しかし、昨年12月からのFRBのタカ派シフトは急激で、年明け以降は、市場でもFRBの年内の金融引き締めを巡って予想が大きくタカ派方向へ変化している。機関投資家も足元で修正対応を迫られているようで、こうした背景も相場の下落基調に拍車をかけていると思われる。
今回のコロナショック以降の金融緩和は前例のないもので、ここからの出口戦略も前例がない。そのため、不確実性要素が大きく、事前の織り込みもどの程度進んでいるか想定しにくい。FOMC後のあく抜け感に期待したいところではあるが、楽観的な見方は危険で、相場の乱高下を覚悟しておいた方がよいだろう。
一方、こうした中、日米ともに企業の決算発表シーズンが徐々に本格化してくる。日本では今週、日本電産<6594>、ファナック<6954>、信越化<4063>、アドバンテスト<6857>など注目度の高い企業決算が多い。FOMC前後のため、決算内容に対する反応が読みにくいが、年始からすでに株価が大きく下落しているため、FOMCが無難な通過となれば、好決算は素直に買いに繋がりそうだ。
物色動向では、足元で景気敏感・バリュー(割安)株の買いの勢いも一服してきている。年始からのこうした動きが、25日からのFOMCへの警戒感を反映したものであれば、FOMCを直前に控えたタイミングで動きに一服感が出てくるのも頷ける。同時に決算シーズンも迎えるため、FOMCの結果内容次第では、物色に変化が出てくる可能性があろう。
ポジティブなシナリオとしてFOMCの無難通過を想定する場合、決算においては、足元で株価が大きく上げていた景気敏感・バリューの好決算は利食い売りにつながりやすく、大きく売り込まれていたハイテク・グロースの好決算は見直しにつながりやすいだろう。しかし、いずれにせよ、決算反応を事前に予想することは困難なため、内容を確認後のエントリーでも十分だろう。
今週は25日に12月首都圏マンション発売、米FOMC(~26日)、米11月S&Pコアロジック・ケース・シラー・住宅価格指数、米1月消費者信頼感指数、IMF世界経済見通し発表、26日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」(1月17~18日開催分)、パウエルFRB議長会見、米12月新築住宅販売、27日に米10-12月期GDP速報値、米12月耐久財受注、28日に米12月個人支出・個人所得などが発表予定。