「夢のマイホーム」がそろそろ死語になりつつある昨今とはいえ、まだまだ持ち家に対する憧れや価値を認める人は多いだろう。そんな持ち家も住み替えのためや相続など、さまざまなライフイベントによって売却する必要性が出てくることがある。
当面、売却の予定がないという人も人生をとりまくあらゆる変化を見越して、いつか来るかもしれない「自宅を売る」を想定しておいて損はないはずだ。
では、どんなときに自宅を売却する必要が生じるのだろうか。今回、「マネーポスト不動産売却」では、居住用不動産の売却を検討したことがある全国30歳以上の男女550人(マンション286人、戸建て274人、土地176人。複数回答可、以下同)にアンケートを行った。
その結果、「売却を検討した理由」の1位は「住み替えのため」(310人、56.4%)、2位は「資産を整理するため」(184人、33.5%)、3位は「相続のため」(121人、22.0%)となった。
転勤や転職、ライフスタイルの変更によって住み替えることもあれば、「家族が増えて家が狭くなった」、逆に「子どもが独立して広さを持て余す」という場合もあるだろう。年数が経って古くなった家を売れるうちに売っておきたいというケースもあるかもしれない。
2番目に多かった理由「資産を整理するため」のパターンとして、「ローンが払えなくなった」があることは想像に難くない。コロナ以前から始まっていた「働き方改革」によって残業が大幅に減り、もともと残業代を見込んで組んだ住宅ローンが払えなくなるケースが増えていたという。そこに加えてこのコロナ禍である。新型コロナウイルスの生活への影響は言うに及ばずだ。
それ以外に考えられる「資産整理」のパターンとして、「不動産価格の上昇を見越しての売却があるのではないか」と指摘するのは、新刊『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』を上梓したばかりの不動産コンサルタント・長嶋修さん(さくら事務所会長)である。
「売却価格は今が上がり切っている状態だと考えて売る人は多いと思います。『都心』『駅近』といった好立地の物件に限りますが、ここ20年ぐらいまでの間に買った物件、特に利便性の高い立地であれば当時の買値より今の売値のほうが高くなっているのです」(長嶋さん、以下同)