人生で最も高い買い物である「マイホーム」。何十年ものローンを組んで手に入れても、さまざまな理由から手放さなければならないこともある。「家族が増えた」とか、「子どもが巣立った」とか喜ばしい出来事が理由になることもあれば、「ローンが払えなくなった」ということもあるだろう。
日本の高齢者の持ち家比率は6~8割と高いため、親が亡くなって実家を相続したという人も相当数いるはずだ。なかには、不動産を購入した経験がないのに、誰も住まなくなった実家を売却する立場になり、困惑する人も多いのではないか。
これまで居住用不動産を売却したことがある人は、実際どのように行動したのだろうか。「マネーポスト不動産売却」が、居住用不動産の売却を検討したことがある全国30歳以上の男女550人(マンション286人、戸建て274人、土地176人。複数回答可、以下同)にアンケートを行ったところ、以下のような結果となった。
売却を検討した際、「不動産査定」に出したことがある人は全体の7割超。自分で不動産会社を探して依頼した人が最も多かった(284人、51.6%)。次いで多かったのは、「一括査定サービスを利用」した人(162人、29.5%)だった。
「一括査定サービス」とは、インターネット上に物件の現況情報を入力するだけで、複数の不動産会社の査定結果を手軽に比較・検討できるものだ。具体的には「SUUMO(スーモ)」や「LIFULL HOME’S」、「すまいValue(バリュー)」などのサイトがある。
居住用不動産の査定においては「自分で不動産会社に依頼」か「一括査定サービス」かのほぼ2択といってよい状況である。では、どちらを選択するのがよいのか。不動産コンサルタントの長嶋修さんは「注意するポイントが2つある」と指摘する。
「一括査定サービスは、多くの不動産仲介会社がそのサイトに手数料を払って参加していて、他社との競争になる分、相場より高めの査定が出る傾向があります。ですが、必ずしもその査定通りの価格で売れるとは限りません。それがひとつ。
もうひとつは、一括査定サービスは対応地域が都市部に限られるということです。地方都市の郊外となると、そもそも情報を持っている不動産会社が限られてしまい、利用できないケースが多い。この2点の特徴をわかった上で、一括査定サービスを活用する必要があります」(長嶋さん、以下同)