そう言って観光客を待ち望む一方、今後を危惧する声もある。
「外国資本のリゾート施設は、客も外国人だから、雇う従業員は英語ができないとダメで、本国から連れてくるケースが大半です。近年は中国人客が増えたから、コロナ前は中国語がしゃべれる人の募集が多かった。
今後は中国語もできる人材でなければ採用されなくなるでしょう。地元住民にとって歓迎できる状況ではないのでは」(地元商店主)
ニセコは“規制外”
この状況に警鐘を鳴らすのが、外国人による土地売買問題を研究してきた元中央大学法科大学院教授で弁護士の升田純氏だ。
「日本の土地は、世界的に見て安くなっている。とくに北海道のリゾート地は割安なので、外国人の投資対象になりやすいのでしょう。ただし、買われているのが日本の国土であるという観点を忘れてはいけません。仮に土地を買った外国人たちが連動してコミュニティをつくるなどした場合、地域住民とのさまざまな対立を引き起こす可能性もあり得ます。現状では仮に政治・社会運動を起こした場合はどうなるかなどの議論がなされていません」
こうした指摘が相次ぎ、国はようやく昨年6月に「重要土地利用規制法」という法律を成立させた。自衛隊の基地近くなど安全保障上問題のある施設の周囲の1キロメートル内や、国境近くの離島を注視区域に定め、日本の安保を脅かす土地利用を確認すれば、所有者に中止を勧告・命令できるようになった。
しかし、ニセコのような山に囲まれた観光地は“規制外”だ。
「外国人が所有者だったとしても、土地が日本人名義になっていて本当の所有者が表に出てこないこともあり、そもそも現状を把握することすら難しい」(前出・升田氏)
ぼんやりしているうちにも、買い占めは進んでいく。
※週刊ポスト2022年2月11日号