世界でも有数の良質なパウダースノーで知られ、スキーリゾートとして人気の北海道ニセコ地区。しかし、新型コロナの感染再拡大もあり、シーズンながら観光客はまばら。家族連れや団体客は見かけられず、商店街を歩いているのは地元住民がほとんどという寂しい様子だ。
メインストリート「ひらふ坂」(倶知安町)で目を引くのが建設中の巨大施設。香港の不動産開発事業者メトロポリーホールディングスが、約3ヘクタールに及ぶ土地にコンドミニアムや飲食店を備えた大型複合施設「アルクザカストリート」を建設中で、完成は2024年予定。
昨年6月にはマカオで中国人富裕層向けにカジノを運営するサンシティグループ(太陽城集団)が、ひらふ地区に20ヘクタールの用地を取得し、2025年までにホテル棟と70戸以上の別荘を建設する計画があると報じられた。他にも、香港系の不動産投資会社の卓越国際がひらふ坂近くの1ヘクタールの用地を買収し、6~7階建てコンドミニアムと15棟の別荘を建設予定だ。
ニセコに続々と進出する中国系資本。ペンションを経営している倶知安町議会議員の佐藤英俊氏はこう語る。
「中国人をはじめとしたアジア系外国人による不動産の買収は我々にとってはすでにごく普通の出来事になっています。聞いても『ああ、またか』という感覚です。ひらふ坂の物件の約8割がすでに外国資本の所有になっていますからね」
実際、倶知安町の税務課によれば、香港、中国在住者の土地保有件数は、2014年には254件だったが、2020年には604件にまで増えたという。さらに2021年は656件(暫定)とコロナ禍でも1年で50件も増えている。
現在のニセコには中国人の姿は見当たらないが、「コロナ前なら1月下旬~2月の春節の時期は中国人観光客で賑わっていました」(同前)と言うように、ニセコは中国人観光客にとって魅力的な土地のようだ。