週刊ポストでは、日本の企業や経営者を長年見続けてきたジャーナリスト、アナリスト、評論家、大学教授ら32人にアンケートを行ない、「最高の経営者」は誰かをランキング形式で選んでもらった。「現役」最高の経営者として上位に名を連ねたのは、ソフトバンクグループ社長・孫正義氏や日本電産会長・永守重信氏ら。では、これから「5年後」に最高の経営者となりそうなのは誰なのか──。(別表参照。文中一部敬称略)
経営者が担う未来への舵取り。刻一刻とビジネス環境が変化するなか、「5年後」に活躍するためには、これまで以上に事業の“創造力”が求められる。次代のリーダーは誰か。
アンケートの結果、「現役」以上に票が割れたが、僅差で「5年後の名経営者」トップに立ったのはソニーグループ社長・吉田憲一郎だ。
「経営が傾きかけたソニーを復活させただけでなく、さらなる逆襲が見込める。低迷からの復活、ブランド力が高く商品に憧れる人が多い点も米アップルに似ています。映画、音楽、AV機器など全事業が成長軌道に乗り、さらに先のメタバース(仮想空間)が視野に入る。GAFA(※注)の序列が変わるであろう5年後、気が付いたらソニーがそこに食い込んでいく可能性もあるでしょう。
【※注/米国の世界的IT企業「グーグル(G)」「アマゾン(A)」「フェイスブック(F)=現メタ」「アップル(A)」の4社の頭文字を取った略称】
そうなった時、いまの吉田さんの活躍が『ソニー復活のキーマンだった』と語られるようになるかもしません」(経済評論家の鈴木貴博氏)
吉田ソニーについては「新たに取り組むEV・ソニーカーが試金石になる」(ジャーナリストの森岡英樹氏)と注目する声も多い。
このように、現役の大企業トップがさらに会社を成長させる名経営者になっている可能性もある。2位には、「現役」で4位だったトヨタ自動車社長・豊田章男が付けた。経済ジャーナリスト・片山修氏が言う。
「章男氏はかねてから『台数だけを追い求めた過去と決別し、幸せを量産できる会社に生まれ変わる』と述べています。氏が自ら目指す新しい時代の企業の在り方を実現できれば、世界から認められる名経営者になるでしょう」