コロナ禍の株高を支えてきた米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレを抑制するため、利上げや保有資産の縮小と金融引き締めに転換するなか、ウクライナ情勢を巡る緊張感の高まりもあり、世界の株式市場は不安定な状況が続いている。しかし、一方で株価の調整局面は投資チャンスと考えることもできるだろう。
特に、独自の強みを持つ優良企業であれば、着実な業績伸長が期待できるため、マーケットが落ち着いた段階で株価の反転も予想される。銘柄分析に定評があるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が厳選した10銘柄を、注目度順に紹介する。
* * *
レーザーテック(東証1部・6920)
レーザーテックは、半導体製造に不可欠な検査・測定装置を開発・販売する半導体検査装置メーカー。同社が掲げる「グローバルニッチトップ戦略」によって世界トップポジションを確立しており、半導体チップの製造に必要不可欠なマスクブランクスの欠陥検査装置では100%、フォトマスクの欠陥検査装置では75%という圧倒的シェアを誇る。
事業環境は非常に恵まれており、複数の追い風による成長が期待できる。例えば、制御や加工、演算処理などを行うロジック半導体市場では、2018年、2019年に7ナノメートル、2020年、2021年に5ナノメートル、2022年以降は2年毎に3→2→1ナノメートルというように微細化が進んでいくとされている。半導体回路の微細化に欠かせない「EUV(極端紫外線)」に対応したマスクブランクス欠陥検査技術の確立に成功した同社は、今後も継続した需要が見込まれる。
最近では、台湾の半導体製造大手TSMC(台湾積体電路製造)の大型投資に見られるように、5GやHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)向けの需要を背景にEUVを用いた半導体製造増強の投資も活発化しており、同社はその恩恵を享受できる立場にある。
日本郵船(東証1部・9101)
運航船舶数規模、売上高、純利益で国内1位で、世界でも最大手に数えられる海運会社である日本郵船。海運事業に加え、空運や陸運、物流事業も展開しており、近年は総合物流企業としての色合いも濃くなっている。
定期船事業では、食料品や日用品などの消費財を運ぶコンテナ船(持ち株会社にて運営)や、国際物流の中継基地となるターミナル・港湾関連サービスを展開。不定期専用船事業では、定期船事業以外の外航海運事業を展開しており、自動車輸送やドライバルク輸送(鉄鉱石や石炭、木質チップなどのバルク貨物)、原油や天然ガスなどのエネルギー輸送を行なっている。
コロナ禍の巣ごもり需要に続き、足元の米住宅着工件数増を背景とした家具輸送量の増加に見られるように、世界的な消費財需要の拡大が予想され、コンテナ輸送の需要は高水準で推移すると考えられる。業界再編による運賃競争問題も解消されており、業界全体での収益改善が期待できる段階になっていると見られる。
ネクステージ(東証1部・3186)
ネクステージは、東証1部上場の中古車販売会社。創業はたった2台の中古車からスタートしたが、現在は1つの拠点で車両・用品販売・保険・整備車検・買取と、ガソリン給油以外の車に関する全てのサービスを提供し、顧客との生涯にわたる取引を目指している。大型店でのフルライン・オペレーションに加え、SUV(スポーツ用多目的車)に特化した「SUV LAND」などのエッジを効かせた専門店を展開し、事業を拡大中だ。
豊富な品揃えと顧客満足度の向上により在庫回転率が改善し、効率的な運営ができている。「中古自動車販売シェア業界No.1」を目指して掲げる「2030年ビジョン」では、売上高1兆円、営業利益900億円を目指している。