それでも、石原さんの死後の整理には不安も残る。1つは、冒頭の田園調布の豪邸だ。登記簿によると、土地、建物ともに、石原さんと典子夫人の共有名義だが、その割合はほとんどが石原さんだ。土地は400平方メートル以上で、近隣の不動産会社によると「建物を含めれば2億円をゆうに超える」という。司法書士法人ABC代表の椎葉基史氏が解説する。
「遺産分割のスタンダードな考え方は、配偶者が財産の半分を受け取り、残りの半分を子供の頭数で分けるというものです。相続財産がすべて現金ならば分けるのはたやすいのですが、不動産が含まれると、途端に難しくなります。不動産を縦に切るわけにもいきませんし、そこに住み続けたいという相続人がいる場合には、すぐに現金化したいほかの相続人と意見がぶつかることになります」
不動産の場合は、共有名義という考え方もあるが、これには大きな落とし穴がある。
「将来、その不動産を売るにしても、共有者全員の同意を取らないといけなくなります。さらに言うと、相続した人が今後亡くなれば、さらにその人の相続人が何人も分割して相続し、所有権が細切れになる危険性があります。そうなれば売るにも、解体するにも、身動きがとれなくなる」(椎葉氏)
はたして石原家の遺産相続はどうなるのか──。
(後編につづく)
※女性セブン2022年3月3日号