そのような場合、角度を変えて撮影を行う方法でより正確な状態の撮影をすべきですが、受傷部の痛みで患部を動かせない場合には撮影が難しいこともあると思います。
1か月後に骨折が判明したというのは、改めてX-Pで確認した結果だと思います。その画像と初診時の画像を比較することで初診時の読影の正確さを検証できます。初診時の画像で、1か月後の画像と同様に骨折が認められる場合であれば、読影の過失があった可能性は大きいと思います。
ただし、前述の通り、当初は軽微なひびであって、医療水準から読影が困難であったり、やむを得ない撮影条件から骨折部位が写らなかったとすれば、読影の誤りと言うことはできません。
とはいえ、そのようなケースであっても指の痛みで十分なX-P撮影ができなかった場合や通常の打撲に比べて経過が不良であれば、打撲の診断に疑いを持ち、適時にX-P撮影を追加するなどしてさらに診療を進める義務がなかったか、そうすればもっと早く骨折が判明し、指が曲がったままという後遺症の発生を防止できたかなども問題になります。
医療過誤は、難しい分野ですから、自分で解決するのは困難です。病院には患者に診療情報を提供する義務がありますので、まずはカルテなどの診療記録やX-Pの写しをもらってください。医師や放射線技師に意見を求めることができればなおよいと思います。こうした材料を揃えて、弁護士会の法律相談を受けることをおすすめします。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。
イラスト/大野文彰
※女性セブン2022年3月10日号