怪我をした時は早めに適切な対応をしなければ、後々に影響が残ることも少なくない。しかし、信頼して医療機関を受診したものの、医師の判断が間違っているケースもある。そんなとき、どんな対応ができるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
右手を強打し薬指が腫れてしまったので整形外科へ行ったところ、レントゲン撮影の後、打撲と診断されました。1か月ほど経って痛みは取れたのですが、指に力が入らないので再度病院へ行くと、実は骨折していたことが判明。指はずっと曲がったままだと言われ、違和感も残ったままです。最初に診断を誤った医師を訴えることはできますか。(東京都・56才)
【回答】
初診時に撮ったレントゲン写真(X-P)の読影が問題になると思いますが、詳細な経過がわからないので一般論で説明します。強い打撃を受けた指が腫れて痛めば、骨折した疑いもあります。骨折は外形からわかるような場合もあるようですが、診断を確定させるためにX-Pの撮影をするのが普通です。
X-Pは、X線と呼ばれる電磁波を患部に照射し、X線が透過する部分をフィルムに感光させ、骨など透過しない部分が白く残るという原理で、体内の状況を描出させるものです。
したがって骨折があって、折れた骨が完全に離れていれば、その間が感光して黒くなり、白い骨片部分が遊離しているのがわかります。
骨折には骨にひびが入った状態も含まれますが、軽微なひびでは、X-Pから発見することができない場合もあるといいます。また骨折部位に複数の骨が重なっていると、骨折が写らない場合があります。