大手ディスカウントストアのドン・キホーテが昨年12月に発売した「ネット動画専用スマートTV」。見た目は普通のテレビだがテレビチューナーを搭載しておらず、地上波のテレビ放送が映らない代わりにAndroid OSを搭載し、インターネット動画を視聴できる。値段は、42V型で3万2780円(税込)、24V型で2万1780円(同)と低価格だ。販売前の目標台数6000台を売り切り、急遽追加で6000台が生産されるなどヒット商品となっている。
このテレビは「放送法64条1項に規定する協会の放送を受信することのできる受信設備にあたらないため、受信契約の必要はありません」(NHK広報局)という。そんな「受信料不要テレビ」の台頭もあり、NHKは岐路に立たされている。
BS契約を含めて、NHKの受信料は月額2220円。受信料収入は2014~2018年度に5年連続で過去最高を更新した。
未契約世帯には、受信料の支払いを求める訴訟を積極的に起こしている。2017年には最高裁判所が、受信設備、つまりテレビを設置している国民はNHKを視聴しない場合でも、契約を締結し受信料を支払う義務があることを認める判決を下した。
判決によって徴収率は大幅に上昇し、今やNHK本体と子会社の内部留保(連結余剰金)は3700億円を超える。
このように“受信料様々”のNHKにとって、「受信料不要テレビ」が普及すれば、収入源が断たれることになり、経営基盤は揺らぎかねない。
そんななか、噂されているのが「ネット受信料の徴収」だ。NHK関係者が語る。
「地上波放送の同時配信や見逃し配信をするネットサービス『NHKプラス』を2020年4月に開始しましたが、今年の4月からは受信契約を結んでいない人も視聴できるようにして、どう受け止められるかを調査する社会実証実験をするようです。
『NHKプラス』の登録申請数は今や160万を超える。上層部もネット配信の整備は急務と考えており、この社会実証実験は、将来ネット視聴がスタンダードとなった時に受信料の負担を求めるための布石と取り沙汰されています」