さらに民放は“民放ならでは”の強みを活かすことが重要だという。
「動画配信サービスにないテレビ局の強みは、事件、事故や災害に対する情報提供です。プロが取材した信頼性の高い情報と映像を生放送で伝えるリアルタイム性こそ、テレビ局の大きなアドバンテージになります。民放もNHKもチューナーなしテレビの需要を認めつつ、時代に合わせた変化をすることは急務です」(同前)
大手ディスカウントストアのドン・キホーテが昨年12月に発売した「ネット動画専用スマートTV」は、見た目は普通のテレビだがテレビチューナーを搭載しておらず、地上波のテレビ放送が映らない代わりにAndroid OSを搭載し、インターネット動画を視聴できる。販売前の目標台数6000台を売り切り、急遽追加で6000台が生産されるなどヒット商品となっている。
売れ始めた「受信料不要テレビ」は、変化が求められる放送業界を“映す”鏡なのかもしれない。
※週刊ポスト2022年3月11日号