大雪などの悪天候での自動車の運転には危険がつきものだ。突発的な天候不良などが原因となり発生した交通事故の場合、事故を起こしたドライバーの責任が免除される可能性はあるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
東北の実家に帰省したら、ホワイトアウトのお出迎え。家は国道沿いにあり、どの車も速度を落とし運転していたのですが、いきなり車の衝突音がし、現場は右往左往状態。そこでお訊ねしたいのですが、ホワイトアウトのような予期せぬ気象状況に陥った場合、事故を起こした運転手の責任は免除されますか。
【回答】
ドライバーには、「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法」で安全運転を行なう義務があり、また、「直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるための必要な距離」である車間距離保持義務もあります。車間距離は運転速度に左右され、道路舗装の種類や乾湿の度合いなどでも変わりますが、概ね走行速度(km)マイナス15m程度といわれています。
降雪時に減速し運転していても、その速度に対応できる十分な車間距離を取っている必要があります。道路上に積雪があれば、より慎重な運転が求められます。走行中、急に降雪がひどくなり、前が見えなくなるホワイトアウトの状態になれば、自車の前方に何があるかわからないのですから、直ちに停止するのが原則です。
見えなくなった先行車両が急停車していたとしても、十分な車間距離を取って走行していれば、自車を停車させることにより、追突事故は回避可能です。以上のような理由で、車間距離が不十分なために起きた追突事故の場合、責任を免れるのは難しいと思います。