投資情報会社・フィスコが、株式市場の2月28日~3月4日の動きを振り返りつつ、3月7日~3月11日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で491.03円安(-1.85%)と大幅に3週続落。終値は25985.47円と26000円を割り込んだ。週足のローソク足は3週連続の陰線で下値を切り下げる形状。先週も最後までウクライナ情勢に翻弄される展開となった。
週明けの日経平均は50.32円高と小幅続伸。西側諸国がロシアの一部の銀行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除することで合意し、実体経済への影響が懸念されたが、ロシアとウクライナの停戦協議への期待もあり、持ち直した。月替わりの3月1日は317.90円高の26844.72円。米10年国債利回りが大幅に低下するなか米ハイテク株が上昇したことが支援要因となり、一時27013.26円まで上昇。ただ、先行き不透明感がくすぶるなか、節目の27000円を回復したことで目先の達成感が台頭し、引けにかけて騰勢一服となった。
2日は451.69円安と4日ぶりに大幅反落。増強したロシア軍による砲撃激化や対ロ制裁の一段の強化の可能性などから投資家心理が悪化。7年ぶりに高値を更新した原油価格の高騰による景気回復鈍化への懸念も強まり、終日軟調に推移した。3日は184.24円高と反発。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25ptの小幅な利上げを支持する姿勢を示したことなどから、ハト派的な内容に受け止められたことが支援要因となった。
しかし、週末4日はウクライナ情勢の一段の深刻化を受けて急落し、昨年来安値を更新。一時25774.28円まで下落した。ロシア軍による砲撃で、ウクライナにある欧州最大の原子力発電所であるザポロジエ原子力発電所で火災が発生したと伝わり、リスク回避の動きが加速した。
今週の日経平均は神経質な展開か。ウクライナ情勢に翻弄される展開が続きそうだ。ロシア・ウクライナの停戦協議については、今後も対話を継続していくことで合意された。ただ、ロシアのプーチン大統領は依然としてウクライナの「非武装化」及び「中立化」を求めており、西側諸国との距離は埋まらない。また、プーチン氏は軍事作戦の目的を必ず遂行すると強硬姿勢を強調してもいる。今後事態が更にエスカレートする可能性があり、相場がウクライナ情勢を織り込み済みとして消化することは困難と考えられる。
ロシアへの経済制裁を通じた供給網混乱や市況逼迫への思惑から、原油からアルミニウム、小麦など、幅広くエネルギーや食品の価格が歴史的な高騰を見せている。インフレと戦う各国中央銀行による金融政策の舵取りを難しくするうえ、企業の仕入コスト増加や購買力の低下などを通じた個人消費の停滞など、実体経済の影響が懸念される。西側諸国は経済制裁として既にロシアの一部の銀行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除。ただ、エネルギー輸入においてロシアへの依存度が高い欧州は経済の混乱を防ぐため、エネルギー部門に強い一部の大手銀行の排除を見送っている。しかし、欧州連合(EU)はロシアの行動次第では、こうした残された銀行の制裁リストへの追加を辞さない方針を表明済み。仮に制裁リストへの追加が実施されるとなると、商品市況の一段高を通じて株式市場にパニックを引き起こしかねないだろう。