現在の局面において、どの選択が最適か。まず、住宅ローンの借り換えには「3原則」が存在する。
「ローン残高1000万円以上」
「完済まで残り10年以上」
「借り換えで1%以上金利が下がる」
3原則すべてに該当する場合、借り換えを検討するのがベターとされるが、すべてに当てはまらなくても、検討していいという。
「特に中高年の場合、言われるがまま住宅ローンを組み、金利による損得を把握せずに長年借りっぱなしというケースが多い。そうした人は金利が低いいまのうちに借り換えを検討していいでしょう」(風呂内氏)
なかでも借り換えが有利になりやすいのは、定年が近づいた50代だ。現在50歳で、20年前に「全期間固定(金利2.5%)」で4000万の35年ローンを組んだ会社員の男性・Aさんの例を見ていく。
いま組んでいるローンより金利が低い「10年固定金利型(金利1%)」に借り換えれば、残り15年で272万円の負担を軽減できる。
「最初の5年や10年だけ金利が固定され、残りの期間はその時の水準の『変動金利』などになるプランです。10年固定金利型は金融機関が目玉商品として金利を低く抑えていることが多く、借り換えに適している。返済期間が長く残る人にはあまり勧めませんが、定年間近なら、いまのうちに借り換えてできるだけ元本を減らし、10年後に金利が高くなるタイミングで退職金で完済してしまうプランが立てられます」(風呂内氏)
一方で同じく50歳男性・Bさんの場合は、残りの返済期間が10年しかないため、いまより安い金利になっても借り換えの際にかかる手数料を考えるとほぼ“トントン”に。風呂内氏は「手間を考えると借り換えは不要です」と語る。
借り換えが得になるかどうかは人それぞれ。上記の条件に当てはまりそうな人は、金融機関やFPに相談したい。
これまでの“当たり前”に疑問を持つことが、激動の時代を生き抜く必須条件となる。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号