ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりを受け、株式市場には急落の懸念がある。3月には米国で利上げが実施される見通しで、先行きは不透明だ。危機的状況下で資産を守り、増やすには、専門家の知見が必要になる。経済アナリストの馬渕磨理子氏、タレントで投資家としても知られる若林史江氏、杉原杏璃氏の3人が座談会を開催した──。【全4回の第4回。第1回 第2回 第3回を読む】
馬渕:では最後に、今年注目するテーマを見ていきましょうか。ただ、テーマといっても、昨年までは1つのテーマがあれば通用していたのですが、今年はテーマを組み合わせた「投資手法のかけ算」が重要になってくると見ています。
たとえば「注目テーマ」だけでなく、「高配当」とか「年初来高値更新」などを組み合わせて、いろいろな要素を持っていれば売られにくいと考えられます。
杉原:具体的なテーマは何が挙げられますか?
馬渕:今年は年初、年央、年末でテーマが変わるサイクルがあると思っていて、年初は米国の利上げの影響もあって「金融」「不動産」「輸出関連」あたり。年央は「国土強靭化」に「電力」。原油をはじめエネルギー価格が高騰していて、その価格を転嫁できる電力株は、いま株価が下がっている分、いいと思います。
そして、年末にかけては「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、経済再開による「アフターコロナ関連」あたりでしょうか。いずれにしろ「テーマも長居しない」と思うので、よく目を凝らす必要があります。
杉原:私は自分が好きで身近なテーマであるゲーム関連が「メタバース(仮想空間)」の盛り上がりもあって、まだまだ期待したい。それから日経平均が底を打つようになってきたら、4月に東証再編も控えていますし、日経225に連動するETF(上場投資信託)も面白いかなと思います。
若林:株価は噂や期待が膨らんでいる時に最も上がる傾向が強いですが、実際には一歩も二歩も先んじるのは難しい。今年のような先の見通せない局面ならなおさらなので、個別株だけでなく、ひとまずリスクを分散できる投資信託に積み立てておく手があります。何より過去30年間でどんなことがあっても高値をつけてきているのは米国株なので、節税もできる「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」で投資しておくのがいいんじゃないですか。