自動車保有台数は増えても新車販売台数は減少
こづかい同様、家計の苦しい状況を表しているのが子供の「教育費」だ。
「教育費の変化も注目です。かつては、夫のこづかいとは真逆で子供の教育費は“最後の聖域”と言われ、最後まで手をつけない家庭が多かったのですが、コロナ前の20年間で2割減、コロナ禍でも減少傾向が見られ、もはや聖域ではなくなっています」(藤川氏、以下同)
反対に、スマホの普及によって増加しているのが「通信費」だ。菅政権時代の「携帯料金引き下げ」の効果もあり、コロナ禍では5.8%減となったものの、コロナ前の20年間では53.6%も増加。また、自動車購入や維持費などの「自動車関連費」も大幅に増えている。コロナ禍で2割近く減ったとはいえ、コロナ前の20年間で5割以上も増加、家計に占める金額は2020年よりも多い。
「若者のクルマ離れ」が言われて久しく、国内の新車販売台数も2020年には500万台を割り込むなど減少傾向にある。しかし、国土交通省のデータを見ると、2020年の自家用車の保有台数は約7974万台と、2019年の約7970万台と比べてわずかながらコロナ前よりも増えている。
「新車が売れていないのに保有台数が増えているのは、車の買い替えサイクルが延びていることが要因です。自動車工業会の「乗用車市場動向調査」によると、乗用車の平均保有期間は2001年には5.5年でしたが、2019年には7.1年へと長期化しています。この間に収入の減少傾向が続いた一方で自動車の価格は高くなり、買い替えのハードルが高くなりました。10年以上乗り続ける人は年々増え、2019年には29%にもなりました。
ガソリン代が高騰するなか、特に車社会の地方では、燃費の良いハイブリッド車やEV(電気自動車)に買い替えようにも、その購入費用もままならないのでしょう。買い替えサイクルが延びると車検や修理費用などの維持費がかさみ、家計の負担は増すばかりです」
コロナ前の20年間、そしてコロナ禍によって、通信費と自動車関連費が増大する一方、交際費や被服費、さらには保険料などを大きく減らす節約は進んでいる。ただ、コロナ前から最も大きく減らされているのがこづかいとは、世のサラリーマンにとってはなんとも厳しい現実だ。