2人に1人はがんになる時代。がんが見つかった場合、まずは公的医療保険適用の標準治療を受けるのが一般的だ。標準治療というと、“平均的で普通の治療”と考える人は多いかもしれない。だが、実際はそうではなく、エビデンス(治療法がよいと判断できる証拠)のしっかりした、現状での最高治療法なのだ。これらの治療は本来は高額だが、保険適用と高額療養費制度により患者の負担額は軽く済む。
高額な治療費の負担がかなり軽くなる「高額療養費制度」と「限度額適用認定証」とはどういう制度なのか。その内容を見ていこう。収入ごとのひと月の負担上限額については、別掲の表を参考にしてほしい。
高額療養費制度とは
公的医療保険の被保険者・被扶養者が対象で、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、超過分があとで払い戻される制度。
たとえば、年収約370万~約770万円の世帯なら、医療費が100万円かかったとしても支払う額は8万7430円で済む。ただし、申請の必要がある。方法は、各自が加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村(国民健康保険、後期高齢者医療制度)、国保組合、共済組合に問い合わせ、申請用紙に記入し提出する。
NPO法人「がんと暮らしを考える会」理事長・看護師の賢見卓也さんが指摘する。
「診察月から払い戻しまでは、少なくとも3か月ほどかかる点と、診療を受けた月の翌月1日から丸2年間で高額療養費申請の期限が切れる点には注意が必要です」