年度が変わる春は、転居や転勤などに合わせて引っ越しが急増する季節。そこで気をつけたいのが隣人トラブル。笑い話で終わるものもあるが、なかには凄惨な事件に発展する例もある。過去の事件や実例を参考に、隣人との付き合い方を考えるきっかけにしてほしい。
騒音トラブルといえば、いまから20年前にワイドショーを騒がせた“騒音おばさん”を思い浮かべる人も多いはずだ。
事件は、2002年11月から約2年半にわたり、奈良県に住む女(60才・当時)がCDラジカセから大音量で24時間音楽を流すなどの騒音を出し続け、隣家の主婦に苦痛を与えたというもの。加害者の女は2005年4月に逮捕され、懲役1年8か月の実刑を終えて出所している。
この女が「引っ越し、引っ越し」と叫びながら布団を叩く様子は、当時のバラエティー番組などで“面白おかしく”取り上げられることが多かったが、2020年には、加害者側にも理があるという内容の映画『ミセス・ノイズィ』が話題を集めるなど、いまなお記憶に残る事件である。
そこまで大きな事件でなくとも、騒音トラブルは身近に起こり得る問題だ。たとえば芸能人も多く住むエリア・港区のマンションではこんな攻防戦があったという。
「去年、上の階に若い男性が入居してきたんですが、夜中3時頃から1時間くらい、ドーンドーンゴロゴロ~ッて轟音がするようになったんです。5才の子供もぐずって大変だし、日中のリモートワークもなんだかぼーっとするし、ほとほと迷惑していたんです」(30代女性)
管理会社に相談したところ、逆恨みされないよう、住人全体に文書を配布するとのことだったが、該当の住人はチェックしている気配がなく、深夜の轟音は止まらない。1か月が過ぎた頃、その女性は何の音なのか思いあたった。
「音に一定のリズムがあって。ふと、車輪にグリップがついた筋トレグッズの『腹筋ローラー』を往復させる音だって気づいて。もうがまんの限界だったので、バレてもいいやって、直接『腹筋ローラー?』とだけ書いたメモ用紙を郵便受けに投函しました。するとその日の夜からピタッとやみましたよ」
騒音トラブルには要注意。
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2022年4月7・14日号