貯蓄型保険は資産が目減りしていくリスクも
さらに、「保険もインフレに弱い」というのは、前出・横川氏だ。
「特に貯蓄型の保険は、超長期固定金利の金融商品です。将来受け取る保険金は契約時に決まっているので、インフレが続けば受け取る保険金の価値が小さくなります。
ざっくりとしたイメージですが、たとえば葬式代などを準備する目的で保険金500万円の終身保険に加入した40歳男性が、平均寿命の80歳で死亡するとします。その間、日銀が目指す2%のインフレが40年間続いていれば、500万円の保険金の価値は300万円近く下がることになります。この間のインフレ率がプラス1%であっても、200万円近く目減りする計算になる。加入時に葬儀費用として足りると思っていた金額では、満足に葬儀があげられなくなるリスクがあるのです」
“銀行預金よりも利率がいいですよ”が謳い文句だった貯蓄型保険商品は、その利率を上回るインフレ率となった時に、どんどん資産が目減りしていくリスクをはらんでいるわけだ。インフレ局面における考え方について、横川氏はこう言う。
「保険に加入するなら掛け捨て型にし、貯蓄や資産運用は他の手段で行なうほうが得策です」
日本人は“世界一の保険好き”とも言われるが、インフレに弱い資産を減らしていくこともまた、重要な対策だろう。
※週刊ポスト2022年4月8・15日号