値上げラッシュが相次ぐ物価上昇局面でありながら、支給額が下がるのが「年金」だ。4月分から0.4%の減額となり、今年度から受給開始の人は国民年金が満額で月額6万4816円(259円減)、厚生年金のモデル世帯(夫婦2人の標準)の受給額は月額21万9593円(903円減)となる。LMC社労士事務所代表の蒲島竜也氏が解説する。
「2016年に現役世代の負担能力に応じた給付にするという改正法が成立し、2021年4月に施行されました。それまでは原則として、年金を受け取り始める人の受給額は現役世代の賃金に連動し、受給中の人は物価に連動する仕組みでした。
それが改正法のもとでは、賃金の変動率が物価の変動率を下回っている場合、賃金の変動に合わせるようになった。物価が上がっていても、賃金が増えていなければ年金が増えないのです。また、物価と賃金がともに上昇した場合でも、年金給付増を抑えるマクロ経済スライドという制度も導入されている。様々なかたちで年金が増えにくい制度になってきたのです」
そうしたなかで、政府・与党は年金受給者に一律5000円を支給するという支援策を検討しているが、「1回限りの支給では効果は限定的」(蒲島氏)なのは当然だ。
「インフレ局面が続きそうである以上、年金だけに頼らず、年齢を重ねてからも働いて稼ぐなどの工夫が必要になってきます」(蒲島氏)
そこで重要なのが、今年4月以降に施行されていく「年金の新ルール」を熟知しておくことだ。3月28日には新ルールを活用した生活防衛術を網羅した『週刊ポストGOLD 新 得する年金』が発売される。同書でも詳しく解説されているが、2022年の改正をきっかけにして、年金減額時代の“得する年金術”を探ることが重要だ。