東京の都心に住む富裕層の間にも、大きな格差はある。“億”は下らないタワーマンションの高層階に住む人、港区の土地付き一戸建てに住む人……。いずれも庶民からすれば高嶺の花だが、そうした富裕層の子供にとっては「隣の芝生」が青く見えることもあるようだ。一般的に見れば恵まれた環境にあるマンション住まいの子供が、「一戸建てがいい」と言い出したらどんな説明をするのが正解なのか──ライターの高木希美氏が、実際にあった会話の例をもとに考察した。
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34歳の南さん(仮名、以下同)は、夫と職場結婚して夫婦とも外資系金融に勤める、いわゆるパワーカップル。東京都内の有名私立女子小学校に娘を通わせています。世帯年収は3000万円以上もありますが、最近、その収入から見るとだいぶ控えめな90平方メートルのマンションを中古で買いました。中古と言っても築浅で、コンシェルジュもいる高級マンションです。
先日、初めて娘のクラスメイト2人と、その母親たちを招いたそうです。遊びに来たのは、國子さんと桜子さん。
國子さんは37歳の元サロンモデルで、華やかな見た目。身につけるアクセサリーはヴァン クリーフ&アーペル。ご主人は美容院経営です。髪の毛のお手入れが行き届き、ハリのある髪は年上であることを感じさせない若々しさ。肌もピカピカです。
桜子さんも38歳には見えない可愛い見た目で、シャネル大好き。ブラウスもシャネルです。日替わりでエルメスのバーキンやエヴリン、ボリードを持ち、南さんの家には運転手付きのアルファードで到着しました。桜子さんは「うちの子ね、アルファード見ると全部うちの車だと勘違いしちゃうの~(笑)。『それはよそのアルファードよ!』って、毎日言ってて。笑っちゃうでしょ?」と最初からハイテンションだったそうです。
南さんの作ったキッシュと生ハムのサラダ、そしてウーバーイーツで韓国チキンやポテトフライなどを出前してランチが始まりました。話題は同じクラスのママ、愛子さんについてです。愛子さんは、見た目は控えめなのによく話すのでクラスでも有名です。
「あの人って、マウントすごくないですか?」と南さんがぶっちゃけトークを切り出しました。すると、桜子さんが「うん、ちょっとわかるかも、なんか感じ悪いよね」とのってくれます。