投資情報会社・フィスコが4月4日~4月8日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。日本銀行による緩和政策維持などを背景に、円安基調に振れやすい展開は続きそうだ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め観測が期待され、関連の経済指標が堅調となればドル買い地合いは継続しよう。ドル円は3月最終週に2015年8月以来となる125円台に一時上昇した後、高値警戒感から行き過ぎた円安を巻き戻す動きが強まった。また、ロシアとウクライナによる停戦交渉の進展は、ドルへの有事の買いをやや弱める要因となっている。
日銀の黒田東彦総裁は円安のメリットを強調しているほか、金融緩和の継続や指値オペなど円安誘導を継続。鈴木俊一財務相は悪い円安への警戒感を示したものの、目先も円が売られる展開とみられ、ドルを含めた主要通貨は対円で下げづらい値動きが続くだろう。
一方、米経済指標は引き続き堅調で、景気回復の持続を示している。FRB当局者は引き締め加速の方針を述べ、5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%利上げを市場は織り込み始めた。ドル買いは緩やかながら上昇基調は続くだろう。他の主要中央銀行の金融政策方針も注視される。欧州中央銀行(ECB)は緩和姿勢を改める方向だが、利上げには時間を要するとみられ、ユーロ買い・米ドル売りを弱める手がかりに。
なお、一部の市場参加者は原油相場の行方に注目している。ウクライナ和平への期待感が広がるものの、ロシアへの制裁は継続するとみられ、商品価格の高止まりが予想される。資源国通貨の上昇はクロス円をけん引する可能性はあるが、原油価格の高止まりによって米国経済の減速が再び警戒された場合、リスク回避的な円買いが強まる可能性は残されている。
【米・3月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)
5日発表の米3月ISM非製造業景況指数は58.3と、前月の56.5を上回る見通し。回復の持続は好感され、FRBによる一段の引き締め加速へ思惑が広がれば金利高・ドル高の要因になりやすい。
【FOMC議事要旨】(6日公表予定)
3月15-16日に開催されたFOMCでは0.25%の利上げを決定したほか、年内は毎回の利上げ実施の見通しが示された。想定以上にタカ派色の強い内容なら金利高・ドル高要因となりそうだ。