交通誘導員が“花形”に
定年がなくなると聞くと、20代の若手社員と高齢のベテラン社員が世代を超えて一緒に働く場面を想像したくなるが、そうはいかないようだ。
「定年がなくなれば『終身雇用』という概念もなくなっていくでしょう。今でさえ定年引き上げに反発している企業側は雇用規制の緩和、つまり『解雇しやすくする』仕組みを求めるはず。一部の人は100歳まで働けますが、不要と判断された人は何歳であろうと解雇される社会になることが懸念されます」(溝上氏)
さらに近年進む「AI(人工知能)・ロボット化」が職種自体を制限する。
「今後は銀行や保険などの金融業では人がどんどん不要になり、会社にしがみつこうとしても、20年後には雇用規制の緩和でいきなりクビになることもあり得る」(溝上氏)
そうしたAIに取って代わられる心配が少ないシニア向けの資格として「マンション管理士」や、交通誘導員になるための「交通誘導警備業務検定」があるが、そうした仕事は希望者が殺到し、争奪戦が起きると溝上氏は見る。
「交通誘導員やマンション管理人は、20年後は就きたくても就けない職種になるかもしれない。現役時代に会社員として培ったスキルや人脈を、高齢者になったあともITを学んで取り入れながら活かすような道を探っていく必要があるでしょう」
決して簡単な道ではないが、そうでなければ生き残れないのが現実だ。
※週刊ポスト2022年4月29日号