4月から「70歳就業法(改正高年齢者雇用安定法)」が施行され、いよいよサラリーマンの人生から「定年」という概念が消滅する時代がやってくる。
「70歳就業法」は企業に対して、従業員が70歳になるまで雇用機会を提供するよう努力義務を課すものだ。
これまでの「65歳定年制」では、「定年廃止」「65歳までの定年延長」「再雇用など65歳までの雇用延長」のいずれかの導入が義務づけられていた。それが今後は、努力義務ではあるが、企業が70歳まで雇い続けたり、業務委託のかたちで仕事を発注したりすることが求められるようになった。
60代前半で仕事をリタイアして、悠々自適の生活を送る──そんな老後のステレオタイプは大きく変化しようとしている。では、新時代の会社員生活はどのようなものになるのか。
「子育てがひと息ついた47歳で入社し、今年5月で21年になります」
そう話すのは、化粧品・健康食品大手ファンケルで、コールセンタースタッフの育成に携わる川口幸子さん(67)。
2017年に年齢制限を撤廃して働ける「アクティブシニア社員」制度を導入した同社。これまでは65歳を定年としていたが、本人が勤務を希望して、会社と合意すれば1年ごとの契約更新をしながら働くことができる。元気とやる気が続けば生涯働ける仕組みだ。
勤務する曜日や勤務時間を本人の希望を聞いたうえで決定する。従業員が希望する働き方に柔軟に対応した制度だという。