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20年後の日本の医療制度はこうなる 90歳でも3割負担、医療格差も鮮明に

お金がないと「たらい回し」

 米国ではアルツハイマー病の新薬アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)について、「有効性が確認されていない」などの理由から、高齢者向け公的医療保険「メディケア」の対象とする患者が大幅に制限された。

「今後、日本でも同様の動きが出てくるはずです。例えば重粒子線治療は、手術や抗がん剤に比べて副作用は少なく効果が高いと見込まれているにもかかわらず、“エビデンスレベルが低い”などの理由をつけて一部のがん以外は公的保険の対象にしていません。

 公的保険の免責事項にされる医療行為が増えれば、富裕層の高齢者は民間の医療保険を使って治療を受けられる一方、保険料が負担できず民間保険に加入できない層は治療を受けられない、という事態が予想されます」(上氏)

“全額自己負担”の医療行為が増えることで、富裕層と貧困層の「医療格差」が広がるというのだ。

「また医療の進歩で“寝たきり”でも生き続ける人は今後、ますます増えてくるでしょう。都心部を中心に医療機関は病床の逼迫が予想される。これは持病が急変して救急車を呼んでも、入院先が見つからずたらい回しにされることを意味します。

 そのリスクがより高いのは、日常生活で身体を気遣ってくれる家族などがいない独居の高齢者たちです。体調を崩しても入院できずに自宅などで“孤独死”する高齢者が増加するリスクがあります」(上氏)

“寿命が延びる”と一口に言っても、お金がなければまともな医療が受けられず「孤独死」する“地獄”が待っている。

※週刊ポスト2022年4月29日号

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