「テレワークを導入すると国からお金をもらえる」──企業で人事・総務部門で働く人なら耳にしたことがあるだろう。新型コロナウイルスが流行して以降、国や地方自治体はテレワーク関連の補助金・助成金を多く用意している。非対面化のためのIT設備の導入やサテライトオフィスを整備する際の補助、また、コワーキングスペースを開設する事業者への助成などもある。
政府がテレワークを推進する思惑としては、非対面で感染リスクを下げたいのに加え、人員不足の解消、自然災害など非常時への対応などがある。人手不足で各店舗に資格を持った責任者を配置できない場合、センターにそうした人を集約してリモートで対応したり、自然災害においては出社できなくても業務が滞ることがないようにするためのものだ。
コロナ禍が仮に収束したとしても時代の要請があるのがテレワークだといえる。NEWSポストセブン「転職研究室」が転職(活動を含む)を経験した20~60代の男女に「テレワークへの意識」についてアンケートを行ったところ、「転職活動をする場合、求人情報の中でテレワークの有無を気にするか」の設問に「気にする」と回答したのは約3割(551人中174人)、「気にしない」が約6割(同334人)だった。
テレワークは働き方の選択肢のひとつであるから、転職のときに重視するのはそれよりも仕事の内容そのものと考えれば妥当な数字かもしれない。ただし、「気にしない」と回答したにもかかわらず、「こんなはずじゃなかった」という事態に陥ることもある。毎年200人以上の転職相談を受けているキャリアカウンセラーの錦戸かおりさんはこう指摘する。
「『気にしない』という回答には2種類あると思います。ひとつはフルリモートになっても、毎日出社になってもどちらでも対応できるというケース。もうひとつは現状の働き方が変わることを想定していないケースです。
自分がいま働いている会社が世間一般の平均だと思い込んでいて、テレワークできる日を自分で選べる会社から転職してそれができなくなって驚いたり、逆にテレワークができない業種だからと高をくくっていたらテレワークを求められて困惑するケースもあります」