2009年12月に発行された元FXトレーダー・磯貝清明氏の著書『突然マルサがやって来た!~FXで10億円稼いだ元ヒルズ族社長の絶頂と貧民転落~』(小学館)を、『マネーポストWEB』にて全文公開(全10回)。第2回は、第1章「逃げろ!? マルサがやって来て同時多発捜索だ!」の後半です。
前回の記事はこちら⇒【第1回】マルサって、あの有名なマルサ!? | 突然マルサがやってきた!
(ここに書かれている内容は、断り書きのない限りすべて同書発行時点のものである点をご了承ください。また、本文中に登場する人物名は、著者・磯貝氏を除いて仮名です)
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第1章 逃げろ!? マルサがやって来て同時多発捜索だ!(後半)
■いやあ……、マルサの人たちは実にテキパキと仕事をこなすもんです
「磯貝清明さんですね?」
部屋にいたのは、東京国税局の査察官、いわゆる「マルサ」の人たちでした。住人が留守でも、捜査令状があれば、管理人の立会いで捜索ができるのだそうです。知りませんでした。
僕の住む六本木ヒルズレジデンスはセキュリティが厳しく、基本的には住人の許可がない限りだれも建物の中には入れません。それでも、さすがに捜査令状を持ったマルサを断ることはできなかったのでしょう。管理人らしき人が、困ったような表情で捜索の様子を見守っていました。
こうしたガサ入れの現場では、それぞれ担当というものがあるのでしょうか。郵便物や書類などを1枚1枚丹念に調べる人や、現金を1枚1枚数える人、パソコンの中のデータを次々とCD・ROMにコピーする人、ありとあらゆる場所をコンコンとノックしながら隠し場所を探している人など、それぞれの仕事をテキパキとこなしています。
その様子はとても手慣れていて、僕は自分が置かれた立場も忘れてホレボレしていました。
その中に、ひっきりなしにケータイでだれかと連絡を取っている人がいます。どうやら、僕の捜査を統括する人のようです。
「そっちはどうだ?」
「A銀行の通帳、見つかったか?」
「B銀行のもあるはずだから探してくれ」
こんなふうに逐一、ケータイで捜査の進捗を確認したり、指示を出したりしていました。きっと会社や実家も同時進行で調べているのでしょう。 母ちゃんや妹たちが、オロオロする姿が目に浮かぶようでした。