それからどのくらいの時間がたったでしょう。気が付いたら外はすっかり暗くなっていて、ようやく部屋の捜索が終わったことを告げられました。時計はもう夜の10時を回っていました。
お互い疲れたし、今日のところはこれで終わりかな、とほのかな期待を膨らませていると、無情にもマルサの人はそれをバッサリ切り捨てました。
「じゃあこの後は、国税局で事情を聞かせてもらいます」
「えっ、これから!?」
マルサの皆さん、働き過ぎです。僕はマルサの人たちとタクシーに分乗させられ、大手町にある東京国税局に連れて行かれました。両手は自由になっているけれど、まるでパトカーで連行される容疑者の気分です。
今日、帰れるのかなあ……。そんな僕の思いとは裏腹に、道路は気持ちよく流れていて、スムーズに国税局に到着しました。
■元カノの家まで捜索!? 1日で250人の捜査員が動いた
エントランスで受付をし、
「コレ、付けてください」
と、バッジをひとつ、手渡されました。悪者が一目でわかるマークでもあるのかとビックリしましたが、手渡されたバッジを見ると、そこには「来客」の文字が。よくある来客用バッジでした。
ホッ。安心ついでに、
「後で友達に見せたらウケるかな」
と思い、バッジをつけた左胸をこっそり写メしておきました。