松村さんの説明は、意外にもしっかりしていました。日本は長い間、預貯金をしてもほとんど利息がつかない低金利が続いています。
一方、当時の海外では、それなりの金利がついていました。そこで円を売って外貨を持つことで、円の金利と外貨の金利の差額を受け取れるのだというのです。しかも円の金利はほとんどゼロに近いので、外貨の金利をまるまる受け取れる状態に近い、とのことでした。
「それって外貨預金じゃないの?」
「外貨預金は満期にならないと利息をもらえませんよね。でもFXなら、スワップポイントという金利が口座に毎日入ってくるんです。外貨預金じゃこうはいきませんよ」
「うーん。やっぱり話がウマ過ぎない?」
僕はまだ半信半疑でした。しかも、FXは、先物と同じような感覚で「レバレッジ」までかけられるというのです。
レバレッジとは「てこの原理」を意味する言葉で、普通の外貨預金なら、1万円あれば、1ドル=100円のときに100ドル買えます。その後、1ドルが110円まで上昇すれば1000円の利益。これがレバレッジをかけない(1倍)状態です。
そこでレバレッジを10倍にすれば、同じ1万円の元手でも、実際の資金の10倍の1000ドル分が買えることになります。このときに1ドルが110円まで上昇すれば、1万円の元手で1万円儲かります。
要するに、少ない元手でも、大きく儲けるチャンスがあるというわけです。でも、儲けるチャンスが大きいほどリスクも大きいので、一瞬で資金を失うこともある。このあたりは、商品先物と同じでした。