大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

万博もIR誘致も掛け声倒れに…「大阪の繁栄」を阻んでいるものは何か

 大阪の最大の問題は、繁栄するためのマスタープランを考える人がいないことだ。東京は千代田区の番町、港区の青山、六本木、白金、渋谷区の松濤といった高級住宅街があり、経済人が都心部に住む職住接近の24時間都市になっている。大阪もそういうトータルの街づくりコンセプトをつくって世界から投資と富裕層を呼び込むべきなのだ。

 そもそも大阪は、天下統一を成し遂げて大阪城を築いた豊臣秀吉が1からつくった城下町である。今の大阪には“現代版の秀吉”が必要なのだが、吉村知事も松井市長もお祭り志向のままである。大阪府と大阪市などを統合する「大阪都」構想は、東京に対する劣等感の裏返しでしかない。

 大阪がメガリージョンになって京都・奈良・兵庫・和歌山と連携して「関西道」を形成すれば、一気に繁栄することは間違いないのに、実にもったいない話である。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館刊)等、著書多数。

※週刊ポスト2022年5月6・13日号

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