2025年に日本国際博覧会(大阪・関西万博)を控え、IR(カジノを含む統合型リゾート)誘致にも前向きな大阪だが、その前途が明るく開けているとはいいがたい──。経営コンサルタントの大前研一氏は、大阪の繁栄のためには「メガリージョン」になることが必要だと考える。どういうことか。大前氏が解説する。
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2025年「大阪・関西万博」の準備が進んでいる。大阪府の吉村洋文知事、大阪市の松井一郎市長、政府の若宮健嗣万博担当相は3月末、UAE(アラブ首長国連邦)で開催されていた「ドバイ万博」を視察し、会場で参加招請活動を展開した。150か国・25国際機関の参加を目標にしているが、4月8日時点の参加表明は100か国・7国際機関にとどまっている。また、協賛企業集めなども遅れていると報じられている。
かてて加えて、大阪府と大阪市が万博後の夢洲に誘致を目指しているIRも前途多難である。そもそもカジノは、アメリカのラスベガスやアトランティックシティ、中国のマカオ、シンガポール、韓国、マレーシア、フランス、イギリスなど世界中に数多くあるが、すでに斜陽産業になっているからだ。しかも、新型コロナウイルス禍でいっそう失速している。
なぜ大阪は飛躍できないのか? 結局、1970年の大阪万博以来、“お祭り志向”になっているからだ。万博の後も1990年に花博(国際花と緑の博覧会)、1995年にAPEC(アジア太平洋経済協力)を開催し、2008年には夏季五輪の開催地に立候補(1回目の投票で最下位になり落選)するなど、とにかく「お祭り」で町おこし、という発想なのである。
しかし、それは何の効果もない。前回の万博は岡本太郎氏の「太陽の塔」が残っただけだし、花博に至っては覚えている人さえほとんどいない。お祭りは、しょせん一過性のものなのだ。