「かつら代」も補助
「それでは目先の生活費に困る」という場合は、高額療養費制度の限度額適用認定証を事前に交付してもらうことで、保険診療に関しては限度額を超える分の窓口での立替払いが不要になる。
さらに、『がんとお金の本』(ビーケイシー刊)の著者でがん闘病の経験があるファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は、人生120年時代に知っておきたい制度として、2008年に始まった高額介護合算療養費を挙げる。
「比較的新しい制度なので知らない方が多いですが、これは親の介護をしている方ががんになった時に有効な制度です。同じ世帯の医療費と介護サービス費の年間の自己負担合計額が一定額を超えた場合、差額が戻ってきます」(黒田氏)
同制度の自己負担限度額は一般的な会社員の年収といえる370万~770万円で年67万円に設定されている。利用には、まず介護保険者である市区町村に申請を行なう必要がある。
「この制度は月単位の高額療養費や高額介護サービス費を利用しても、年間の自己負担額が高額になる世帯の“救済策”として始まりました。例えば抗がん剤治療を受ける人は、ぎりぎりで高額療養費の対象外という人が少なくありません。それでも親の介護サービス費の自己負担分を足せば、年間で対象になる可能性があります」(黒田氏)
要介護認定を受けている親を扶養している場合は、障害者控除もある。
「要介護認定を受けている65歳以上の親がいれば、自治体に申請して『障害者控除対象者認定書』を交付してもらうことで、確定申告時に障害者控除を受けることができます。医療費控除と同様に、税金を安くすることができます」(黒田氏)