「財産なんて残さない方がいいわよ。絶対にモメるから」「私も全部、どこかに寄付しちゃう」──。4月22日に放送された『5時に夢中!』(TOKYO MX)で、遺産について考えを明かしたのは、歌手で女優の中尾ミエ(75才)だ。
中尾といえば、昨年芸能生活60周年を迎えた大ベテラン。舞台で空中ブランコなどのアクロバティックな演出に挑んだり、ミュージカルのプロデュースを自ら手掛けたりと、年を重ねても休むことを知らない女優の1人である。そんな彼女の財産となれば、かなりの額になりそうだ。
「自宅のほかにアパートを所有し、家賃収入も得ているとか。財産は決して少なくないでしょうね」(舞台関係者)
中尾には50年以上一緒に暮らす事実婚の夫がおり、子供はいない。私生活ではある女性を頼りにしているという。
「中尾さんは6人きょうだいの三女です。いまでも末娘の妹さんにはお世話になっているようで、買い物嫌いの中尾さんのために、食料品の買い出しに行ったり、洋服もすべて妹さんがコーディネートしているとか。妹さんが納得した上での遺産の全額寄付だといいんですが……」(中尾の知人)
遺言書によって個人や法人に遺産を贈与することを「遺贈」といい、寄付もこれにあたる。欧米では当たり前に行われているが、日本では一般的でないのが実情だ。
相続実務士で「夢相続」代表の曽根惠子さんが解説する。
「配偶者や子供がおらず、きょうだいが多い場合、遺産相続でモメやすい。寄付することで分配する財産そのものがなくなれば、きょうだい間で差が生まれず、分配をめぐるトラブルになりません。“争続”を避けるための遺贈が、選択肢の1つになってきています」