かつて会社員になれば、年功序列で給料も上がり、定年までの終身雇用も当たり前だった。だが、現在は大手企業でも、早期退職が勧奨されるケースがあるなど、「安泰」とは言えなくなった。先行きが見えない時代、会社に雇われず、自らのスキルで稼ぐフリーランスに転身する人が増えている。ランサーズによると、2021年10月時点でフリーランス人口は約1577万人。調査を開始した2015年と比較すると、約640万人から約2.5倍に増加している。
その一方で、会社員からフリーランスに転身してみたものの、「稼げる」「自由」「自分らしい生き方ができる」といったイメージとはかけ離れた現実に直面した人も少なくない。実際にフリーランスになって苦労したことはなにか。話を聞いた。
文字単価0.5円のライター「単価が上がらない」
「会社を辞めなければ良かった。フリーランスはかっこいいと思っていたけど、本当に泥臭くてしんどい。イメージのように、“自分らしく好きなこと”で生きていけるのは、本当にごく一部の人だけなんでしょうね」
そう心境を明かしてくれたのは、フリーランスとして働く20代男性・Aさんだ。新卒では業界中堅のメーカーの正社員になったものの、“歯車”として生きていくことにずっと疑問を感じていた。そんな矢先に出会ったのは、Webライティングの副業だった。
「会社員時代に副業で始めたWebライティングが楽しかったし、できた分だけお金をもらえるのは単純に“成果が認められた”感じがして、うれしかった。知り合いのフリーで活躍するライターさんからも、『俺も0.5円時代があったよ。慣れれば量もこなせるようになるし、次第に単価も上がる。時間や場所にとらわれず、月に30万円は楽に稼げるから、自由でいいよ』と希望が持てるような言葉をかけてもらったことも大きかったです」(Aさん)