だが、なかなか単価が上がらず、Aさんは効率の悪さを感じるようになった。そうした中で最近は、自らが描いていたフリーランス像が揺らぎ始めているという。
「時給換算すると、コンビニや飲食店のアルバイトの方が断然いいことに気づいてしまいました。クライアントの指示が細かすぎるし、先が見えません。『好きなことで生きていく』っていうフレーズは、本当に危険です。むしろそういう言葉で人材募集をかけているところの仕事は、避けたほうがいいのではと思うくらいです(笑)」(Aさん)
いつでも休みがとれるようで、まったく休めない
フリーランスとして収入を上げているにもかかわらず、会社に戻りたいと考えるようになった人もいる。デザイン関連の仕事をしている30代女性・Bさんだ。会社を辞めてフリーランスになった当初は、楽しかったという。
「会社員時代より月収が増えて、うれしかったです。でも、気がついたらお金のためにひたすら仕事をする感じになっていて、プライベートがほぼない地獄のような日々に……。フリーランスって、いつでも休みをとれるようでいて、その実、休んだら次がないような気がして、休めない。不安をかき消すために働き続けていたんだと思います。働いていないことが本当に怖かった」(Bさん)
現在、Bさんは仕事を抑え、正社員に戻る準備を始めている。
「やっぱり、有給休暇がほしいなと思って、今、就職活動中です(笑)。ただ、面接でフリーランスで働いていたと言うと、『組織が苦手な人』『勝手気ままな人』みたいに思われて、『うちが嫌になったら、またフリーランスに戻るのかな?』と言われることもありました。正社員に戻ろうとしても、実力を買われるどころか冷ややかな目で見られることも多いんですね」(Bさん)