われながら名案だと思いましたが、よく考えたら、あらゆる資産を差し押さえられている僕に融資してくれる金融機関なんてあるわけないのでした。ガックリ。
やっぱり、本来支払うべき税金をまけてもらおうとか、利子が高過ぎるとか、そんな考えを持つこと自体が潔くない、と思い直しました。
何がどうあろうと、払わなきゃいけないものを払わなかった僕が悪いのですから。税額が確定し、ビタ一文まからないことがわかってから、ようやく目が覚めたような気がします。
人間、あきらめたら、おしまい。
厳しいながらも本業に精を出し、少しずつでも税金を納めていこう。そう決意して出直そうとしていた矢先、出鼻をくじくような事件が起こりました。
周囲がなんだか急にざわつき始めたのです。
■「ヒルズ族、脱税で告発」のニュース! っていうか、いつ告発されてたの?
突然、僕のもとに名だたる新聞社やテレビ局から、次々と取材の依頼が舞い込み始めたのです。僕の留守中に電話がかかってきたり、ファックスや郵便で続々と質問状が届くのですから尋常じゃありません。しかもその文面を見ると、
「敏腕経営者とのうわさをおうかがいしております」
などと書いてあるものだから、
「おっ、オレもいよいよデビューか!?」
と色めきたってしまうほど。しかし、その内容をよく見ると、質問は今回の脱税に関することばかり。
修正申告も済ませ、一からやり直そうとしているところなのに、今さらどうしてこんなことを聞かれるのでしょうか。そもそも、なぜマスコミがそんなことを知っているのか、何がなんだかさっぱりわかりません。