税理士さんに相談してみたところ、
「応対しちゃダメ! 顔を見せるのもダメ!」
と言い渡されたので、申し訳なく思いつつも取材はお断りしていました。でも、マスコミの人たちはそんなことではあきらめないようです。テレビ局の記者さんが直接会社までやって来ました。
応対してくれている妹に「社長は留守」と伝えてもらったところ、今度は実家を訪ねて来たり、そのとき通っていた歯医者にまでやって来ました。
仕方がないので、妹には、
「中国に出張中で連絡がつきません、とでも言っといてくれよ」
と、とっさに思いついた言い訳でお断りするよう頼んでおきました。
それから数日後の2009年4月1日。ある友人から電話がかかってきました。
「ネットのニュースに載ってるの、もしかしてオマエのことか?」
「は? ニュース?」
あわてて友人が見たというインターネットのニュースサイトにアクセスすると、
「ヒルズ族、脱税で告発」
という見出し。記事には、僕の名前が実名でハッキリ書かれていました。
やっぱりやられたか──。これが正直な感想でした。
脱税といっても金額や内容はさまざまなので、修正申告をして利子にあたる延滞税や重加算税なども含めてきちんと納税すれば許してもらえるケースもあると聞いています。
でも、億単位の納税義務をスルーしてしまった僕は極めて悪質な事例とみなされ、刑事告発の対象になってしまったのです。
今までみたいに国税局に調べられているうちはまだ普通の人ですが、告発されたということは、「所得税法違反」という罪を犯した疑いのある被告として刑事裁判にかけられることになります。
刑事裁判ですから、判決の内容によって当然、罰金刑を科されるし、最悪の場合は実刑をくらって刑務所行きです。
いずれにしろ、僕が「前科者」になることは、これでほぼ確定してしまったことになります。ていうか僕、何も聞いてないんですけど……。
国税局とか検察庁では、告発することを事前に知らせてくれるサービスはないのでしょうか。当事者である僕がネットのニュースで知るなんて、あんまりといえばあんまりのような。