■友人は言いました。「エイプリルフールのネタだろ? すげえな」
僕はどっぷり落ち込みながらも、電話で知らせてくれた友人にこう答えました。
「オレのことだよ。実は税金払ってなかったんだ」
それを聞いた友人は、なぜか、大笑い。あのー、笑うところじゃないんですけど?
「何がおかしいんだよ」
「またあ。エイプリルフールのネタだろ? すげえな。こういうウソニュース出すのっていくらかかるんだ?」
思えば、この日は4月1日。僕のそれまでの豪遊ぶりから、金にものを言わせて壮大なネタを仕込んだと誤解されたのです。
ああ、実際にそうだったらどんなによかったことか。
しかも今回のニュースは記事だけでなく動画ニュースにまでなっていて、僕が事情聴取を終えて国税局から出てくる姿まで公開されていたのです。いつの間にこんなの撮られたんだろうと、本当に驚きました。
その後も、ニュースを見た友人から続々と電話がかかってきたので、ためしに、
「エイプリルフールのネタだよ、信じた?」
と言ってみたら、
「なあんだ。びっくりしたよ」
と、本当に信じたバカがいたので、今度はこっちがびっくりです。
僕のニュースは天下の大新聞でも大きく報じられていたし、インターネットの記事は翌日以降も閲覧できるようになっていたので、さすがにネタではないと判断されたのか、心配する電話もたくさんかかってきました。
「修正申告して、少しずつだけど払ってるんだ。もうおごったりできないけど、ごめんな」
友人たちにはそんなふうに説明して、わかってもらいました。でも、かかってきたのは心配する電話ばかりではありません。というのも、新聞やインターネットに掲載されたニュース記事の最後には、
「従業員は『代表は中国出張で連絡が取れない』と話している」
と、妹に指示した苦しまぎれの言い訳がそのまま掲載されていたため、
「なんだよ中国って」
「ずっと埼玉にいるじゃないか」
「オマエ中国に用事なんかないだろ!」
と、ツッコミの電話も山ほどかかってきたのです。お騒がせして申し訳ありませんでした。