「よし、そろそろ38.2%戻しの水準だから、いったん利益確定しておこう」
とか、
「まずいな、ここで反転しなければ61.8%戻しまで行っちゃうかも……。損切りしておいたほうがいいかな」
といった具合で、このフィボナッチを軸に節目を予想してトレードをするようになったところ、かなりの手ごたえを感じています。
おかげさまで今は、以前のようにだれでも外貨の買いポジションをしていれば儲けられるような円安一辺倒の相場ではないにもかかわらず、大負けはしなくなりました。
小刻みに利益を狙うスタイルでコツコツ稼ぎ、種銭を残して利益を納税に回していくのが今のトレードスタイルです。
■お上に借りてお上に返す!? 中小企業向けの公的融資は右から左へ
本業のスクラップ業はというと、非鉄金属の価格が急落したことで、かなり苦しい状況に追い詰められてしまいました。
トッカンさんに事業の規模縮小を勧められたこともあり、借りていた倉庫の契約を解除し、従業員にも全員辞めてもらいました。雇用だけはどうにか守りたかったのですが、どうにもできず、まさに苦渋の決断。
自分と妹だけで再スタートすることになりました。実をいうと、恥ずかしながらそれでも運転資金が足りません。
そこで、中小企業向けの低金利の公的融資制度を申請したところ、5000万円を調達することができました。どこの金融機関にも相手にされない脱税犯にも、お上は救いの手を差し伸べてくれたわけです。
僕はしみじみ感謝し、このお金を有効活用して経営を立て直そうと張り切っていました。でも、僕のお金の出入りは、すべて国税がチェックしています。
いきなり5000万円が入金されたことを怪しんだトッカンさんが、さっそく探りの電話を入れてきました。
「なんですか、このお金は」
「本業の経営がキツイんで、緊急融資してもらったんですよ。いやあ助かりました」
「ほう、そうですか。じゃあ税金払えますね」
「え、これ会社の運転資金なんですけど?」
「じゃあ、納税お待ちしてます」
そこで電話はプツッと切れ、僕はしばし呆然。結局、会社の運転資金にするためにお上に借りたお金は、まさに右から左に、別のお上の懐へと帰っていきました。