予算30万円だったのに結果的に50万円超に
だが、脱毛サロンに通う場合、当初予定していた金額では収まらないケースは少なくない。全国にチェーン展開する脱毛サロンで勤務する女性・Bさん(30代)が明かす。
「一般的に医療クリニックで行われる施術は、照射力の高いマシンを使っており、痛みが出ることもありますが、目に見える結果が出やすいです。一方でエステサロンの脱毛は痛みこそ少ないものの、脱毛効果は医療脱毛に劣り、再び産毛が生えてくることも多いので、完全に毛を無くそうとすると、かなりの回数が必要になります。
そのため、特にエステサロンの場合は、当初ローンを組んで契約していた回数、たとえば6回や12回プランをこなした後も毛が生えてきてしまう。そこで多くのサロンが部分脱毛の回数券を追加購入するように提案します。利用者の方も『ここまで毛が薄くなったのだから、せっかくならツルツルにしたい』と、追加料金を払うことになる。結果的に、当初想定していた金額以上の料金がかかるケースは多いです」(Bさん)
さらに全身脱毛プランを提供するエステサロンや医療クリニックの中には、「顔脱毛」「うなじ」「VIO(デリケートゾーン)」といったパーツを、「全身」のなかに含めていないケースもある。そうなると、これらのパーツを脱毛しようとすると、別途料金がかかってしまう。
なかでも人気パーツである「VIO」は毛質が濃いために、より多くの回数を重ねなくては効果が実感しづらい。こうして当初30万円程度を想定していた場合でも、結果的に「顔」や「VIO」脱毛を含めると50万円を超えることになるという。前出のBさんは、こう続ける。
「12回、24回払いなどで契約して、4年間、月々1万~2万円を払い続けている学生さんは多いです。家賃を払い、友達と遊ぶお金を確保しつつ、月々の引き落としがあるのは痛手でしょう。なかには『バイトの掛け持ちをして頑張って払っています!』というお客さまもいました。
私自身、業界で働く身であり、また一人の消費者として全身脱毛を経験した人間でもあります。その立場から言えることは、脱毛は自己処理の手間が省けるメリットがあるものの、安い買い物ではないということ。自己責任で支払えるようになってからでも遅くはない、と思います。
法律的には学生さんでも保護者の同意なくローン契約できるようになっていますが、やはりローンを組む際は、保護者と相談したほうが安心だと思います。ローンに反対されるのであれば、“都度払いサロン”を選ぶことで、必要以上の出費を抑えることもできます」(Bさん)
成人年齢引き下げにともない、脱毛に限らず保護者の同意がなくともさまざまな契約が可能になった。学生が安易に契約書にサインをし、トラブルに巻き込まれないように、家族や学校でローンの仕組みや問題点を話し合う機会を持つことが必要ではないだろうか。