2009年12月に発行された元FXトレーダー・磯貝清明氏の著書『突然マルサがやって来た!~FXで10億円稼いだ元ヒルズ族社長の絶頂と貧民転落~』(小学館)を、『マネーポストWEB』にて全文公開(全10回)。第8回は、第4章「脱税摘発で天国から地獄へ! 2畳の風呂なし小部屋で極貧生活」の前半です。
前回の記事はこちら⇒【第6回】1億ポンドの買いポジションで、ついに評価益が10億円に!| 突然マルサがやってきた!
(ここに書かれている内容は、断り書きのない限りすべて同書発行時点のものである点をご了承ください。また、本文中に登場する人物名は、著者・磯貝氏を除いて仮名です)
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第4章 脱税摘発で天国から地獄へ! 2畳の風呂なし小部屋で極貧生活(前半)
■違法すれすれの税金逃れの方法を聞いて、心が揺れた……
マルサの強制捜査を受けた理由は、FXでガンガン稼いでいたときの利益に対して、税金を払っていなかったからです。
正確な所得額は自分でも把握していませんでしたが、少なくとも億単位の利益を上げていながら申告すらしていなかったのです。
しかし、億単位の利益、といっても、それは絶好調だった2007年前半までの話です。強制捜査を受けた2008年10月時点で僕の資産は、すでに2000万円程度まで急減していました。
それまでの利益にかかる莫大な税額を払えといわれても、もうそんな余力はなくなっていたのです。
払いきれなかったらどうなるんだろう……。一生分の収入を差し押さえられるんだろうか……。それとも借金をして払うのかな……。
超ポジティブを自負する僕も、さすがにヘコみました。そんな僕を心配した友人が、借金対策に詳しいという人物を紹介してくれました。その人は億単位の借金と税金を踏み倒した経験を持ち、その道では有名人だそうです。
その人に話を聞きにいったところ、税金を免れるヒミツの方法というのがあるらしいのです。違法スレスレな方法なので詳しくは書けませんが、正直さすがに、心が揺れました。
でも、そんなことをしたら、僕は本当にただの犯罪者で終わってしまいます。僕はまだ30代に入ったばかりで、これからの長い人生を後ろめたい気持ちを抱えたまま過ごしていくなんて、やっぱりできません。
すでに犯してしまった罪は消せないけれど、せめてこれからは正々堂々、スッキリした気持ちで生きていきたい。
悩んだ末、もうこれ以上、悪いことや後ろ暗いことはしないと決めました。そもそも僕みたいなしがない個人事業主が、お上に逆らうなんて無理ですしね。
そこで、取引の詳細や残っている資産など、とにかく聞かれたことは洗いざらいマルサの人に白状しました。なけなしの財産もすべて差し押さえられることになりそうでした。
それでも、支払うべき税額は1億円を余裕で超えそうな気配で、差し押さえ資産だけでは到底足りそうにありません。これからコツコツ働いて払っていくしかないけれど、ゴールがあまりにも遠過ぎます。やる気はあっても、払いきれる気がしないのです。
そんな僕に残された道は、ただひとつ。正々堂々と、税金をまけてもらおう──。