ピン子さんは栄光を捨てた
なかなか捨てられないのが親しい人や故人との「思い出の品」だ。それでも、女優・泉ピン子さん(74)は、これまで受けとった数々の「栄光の証」を整理していると言う。
「私がまず整理したのがこれまでいただいた賞状やトロフィー類です。菊田一夫演劇賞も日本アカデミー賞も橋田壽賀子賞も全部捨てた。橋田さんには生前にちゃんと『捨てます』と伝えました。そしたら『いいよ』って。そんなことにこだわらない人ですから。
賞は過去のことだし、もし仮に私が夫に先立って逝くことになれば、こうした“頑張った証”が重荷になると思って真っ先に処分したんです」
さらに、泉さんは「無理に捨てずに譲るようにしている」と語る。
「橋田さんからいただいたパールのネックレスは最近、親しいある方に譲りました。やはり使ってもらえるものは縁ある人にお渡ししたいですね」
多くの人にとっては、自宅に残された子供の品々もそのひとつかもしれない。丸山氏が言う。
「独立した子供の勉強机などが、子供部屋にそのまま置いてあるケースは多く聞きます。これは期限を決めて子供に整理してもらうのがいいでしょう。あまり使う機会のない客用の布団や食器については、自分用と入れ替えるなどして処分を進めると、家の中がずいぶん整理されるはずです」
最後に、自身が親から受け継いだモノも、できる限り“処分”したい。
「物置きにしているケースもあると聞きますが、空き家の実家は、相続時に次の世代が困ることが明白なので、もっとも処分を検討すべきモノです。実家のお墓についても、墓じまいして1か所にまとめたり、自宅近くの納骨堂に移す方法などが考えられます」(渡部氏)
身軽になることは、より良い時間を過ごす近道なのかもしれない。
※週刊ポスト2022年6月24日号