老後の生活設計を考えるうえで、重要となるのが「人間関係の整理」。叔父叔母や従兄弟、義理の親戚が火種になることがある。Dさん(48歳男性)が悩んでいるのは母方の縁者についてだ。
「55歳の母方の従兄弟は生涯独身。親である叔父夫婦はすでに他界し一人暮らしをしているが、何をしても長続きしない性分で、長年アルバイトを転々としながら食いつないでいます。しばらく疎遠だったのが、最近『金を工面してほしい』と連絡がありました」
従兄弟は住民税や健康保険料を滞納し、役所から差し押さえ通知が届いたのだという。
「他に頼るあてがないと泣きつかれ、10万円近くを肩代わりしたのですが、その後も何かと無心してくるように。『これ以上、面倒をみることはできない』と突き放したら、『借金の返済ができなければ、最終的にお前が責任を取らされるぞ』と恫喝してきたのです。そこで私は『私には法的に貴方の扶養義務はない。今後、一切の関係、連絡を断絶する。通告を無視した場合は、法的手段に訴える』旨を記した“絶縁状”を送りつけたところ、従兄弟からの連絡は途絶えました」(Dさん)
弁護士の塩田慶氏はこう語る。
「絶縁状には法的効果はありません。ただし、心情を伝える手段としては有効と考えられる。内容証明郵便で送れば、より強固な心情を読み取ることができるので、さらに効果的でしょう」
亡き妻の兄弟との関係に悩むEさん(71歳男性)のケースでは、法的に関係を断つ手段がある。
「妻を亡くして4年が経つが、義兄や義妹との縁を切れずにいます。毎年、お盆やお彼岸の季節には遠方に住む義兄から法要に呼び出されるうえ、菩提寺の本堂改修のため、10万円の寄付を求められたこともあった。妻が存命中は割り切れたが、今は煩わしくて仕方がない。彼らと縁を切る方法はないものか、と……」