これ以上、ビニール傘を増やしたくないのに…
IT企業に勤務する30代男性・Bさんは、自宅にビニール傘を何本も持っているため、「本当はもう買いたくない」と言う。それでも傘が増える理由は、こうだ。
「自宅には、ビニール傘が10本くらいあります。基本、あまり天気予報をチェックせず、家を出る時に雨が降っていなかったら、傘を持たずに出かけてしまうんですよね。それで、外出中に突然雨が降ってきた時、雨が止むまで待つ時間がもったいない、濡れたら風邪を引くかもしれないなどと、あれこれ理由をつけてコンビニに駆け込み、傘を買ってしまうんです」(Bさん)
一時は折りたたみ傘を持ち歩くことも考えたというが、うまくいかなかったという。
「毎回1本600円のビニール傘を買うくらいなら、1000円する折りたたみ傘を1本持っておけばいいと考えたこともあるのですが、使うかどうかハッキリしないものを持ち歩くのが嫌で……。ビニール傘で数百円なら、その時買えばいいや、と思ってしまうんですよね。でも、たくさんあるからといって、まだ使えるものを捨てられない。増える一方です(笑)」(Bさん)
「返さなくていいよ」と気軽にあげられる
食品会社に勤務する40代女性・Cさんも「買うなら断然ビニール傘」だが、いちばんの理由は「安さ」ではないという。
「学生時代からずっとビニール派。普通の傘より視界がクリアというのが最大の決め手です。雨の日はただでさえ視界が悪いのに、普通の傘だと見通しが悪くなります。荷物を持っていれば、両手がふさがってしまうし、路面は雨で滑りやすくなっている。悪条件が重なるとケガや事故につながりそうで怖いので、視界良好なビニール傘一択です」(Cさん)
出先でもビニール傘を購入することがあるので、自宅にも会社にもストックが増えていく。しかしそんなビニール傘が、意外なかたちで役立つこともあるようだ。
「ビニール傘は、帰り際に突然雨が降ってきたシーンで役立ちます。自宅に遊び来た家族や友人、もしくは職場の同僚に『返さなくいいよ』と気軽にあげられる。渡されたほうも、ビニール傘なら、『返さなきゃいけない』というプレッシャーが少ないですよね。私にとってビニール傘はコミュニケーションツールとしても、一役買っているのかもしれません」(Cさん)
傘に対する価値観は人それぞれだが、ビニール傘にそれなりのこだわりを持っている人は少なくないようだ。