コロナ禍にロシアのウクライナ侵攻が重なり、世界中で急激に物価が上昇。各国政府がその対策に追われている。だが、わが国が他国と決定的に違うのは、賃金が一向に上がらないこと。その期間は30年にわたる。日本の経済や政治はどうなるのか──。
7月10日に参議院選挙の投開票が行われる。定数248人のうち、100人が比例代表で選出、148人がそれぞれの選挙区で争う。今回選ばれるのは、神奈川選挙区で欠員となっている非改選の1議席と比例代表50人を合わせた計125人だ。
だがこれは、ただの125人ではない。衆議院の任期が4年で解散があるのに対し、参議院の任期は6年(3年ごとに半数改選)で、解散はない。これが、参議院が「良識の府」「理の政治」といわれるゆえんだ。
それは裏を返せば、今回選ばれる125人に、この先6年間、国を任せるということ。議員はもちろんだが、選ぶ側の責任も重い。
たびたび「衆議院のカーボン・コピー」などと揶揄され、参院不要論を説く有識者も少なくないが、明治大学教授で経済学者の飯田泰之さんは、参議院議員の存在意義は非常に大きいと強調する。
「1993年までは、衆院選は1選挙区から複数の議員を選出する中選挙区制でした。実力者は選挙に通りやすく、選挙に不安がないため、衆議院議員も、落ち着いて政策に取り組むことができていました。しかし現在は小選挙区比例代表並立制。勝負がシビアになり、風次第で当否に影響が出るようになったのです」(飯田さん)
比例代表で復活当選したとしても“選挙に弱い”というレッテルを貼られるため、衆議院選ではどうしても、人気取りに必死になる。だからこそ、腰を据えて政治に取り組める参議院が必要なのだ。経済評論家の加谷珪一さんが言う。
「実のところ、いまの参議院が“良識の府”としての役割を果たせていると言い切るのは難しい。しかし、参議院は今日明日の利権ではなく、俯瞰的、長期的な政策を議論できる場なのは事実です。今回の参院選では、そうした大局的な考えを持つ人が選出されてほしい」