物価の上昇が国民の家計を直撃するなか、7月10日に投開票となる参議院選挙。NHKの世論調査では、今回の参院選においてもっとも重視する政策課題に「経済対策」を挙げた人が42%と最多だった。
各党が公式サイトや政策パンフレットなどで約束している最上位の公約を見ると、経済政策を真っ先に掲げているのは、立憲民主党、公明党、国民民主党、れいわ新選組の4党だ。特に野党系は、おしなべて消費税減税を掲げている。
日本維新の会は毎度おなじみの「身を切る改革」を真っ先にうたう。だが、党代議士の不祥事もある。日本共産党と社会民主党は、こちらもまずは平和と護憲を掲げている。NHK党は、自党の功績の周知を前面に出しているが、それが国民生活にどのように関係するのか。
そして、自民党の筆頭の公約は、外交・安全保障だ。しかも、対GDP比目標2%以上を念頭に置いた防衛費アップを強く打ち出している。ウクライナ問題で国の防衛に不安を持つ国民に向けたアピールなのだろう。
この公約に危機感を抱くのは、NPO法人官製ワーキングプア研究会理事でもある和光大学名誉教授の竹信三恵子さんだ。
「これまで、防衛費の基準はGDP比1%程度でした。これを2%、つまり倍にするということは、その分、社会保障などに使われるお金が減るということです。国の財布(歳費)の総額は変わりません。その中で、いま必要なのは、私たちの生活のために使うお金の確保です」(竹信さん・以下同)
わが国の2021年の名目GDPは5541兆9000億円だ。この2%ということは、110兆8380億円になる。つまり、これだけのお金を、具体的な使い道も決まらないうちに防衛費に回すと言っているに等しい。
「例えばカナダでは、女性たちから“コロナ後の社会の修復のため、GDP比1%を介護や保育に”という提言が出ています」