7月10日に投開票となる参議院選挙。そこで大きな争点になるのが、経済政策だ。コロナ禍やウクライナ侵攻、そして円安の影響で物価が上昇するなか、国民の多くは賃金が上がることを切望している。NPO法人官製ワーキングプア研究会理事でもある和光大学名誉教授の竹信三恵子さんがいう。
「自民党の骨太政策では、最低賃金を全国平均で1000円にすると言っていますが、これでは足りません。アメリカでは、最低賃金を15ドル(日本円で約2000円程度)に引き上げる州が相次いでいます。日本でも、生活を維持できる月収は24万円程度という調査があるため、時給1500円は必要です」
日本の最低賃金が低いのは、ひとえに非正規雇用者が多いのが理由だといわれる。日本の労働者の4割もが非正規雇用で、非正規雇用者の7割は女性だ。
かつては「パート主婦」の収入はあくまで家計補助であり、夫の収入だけで充分に暮らしていくことができたが、いまはそうではない。
「政府が所管する研究機関などの調査では、妻の収入の家計貢献度は正規で4割、非正規でも24%です。もはや主婦のパートはお小遣い稼ぎなどではなく、家計になくてはならないもの。“夫セーフティーネット”は幻想です。女性の貧困は、実情を知らない政治家が“パートなんだから、困らないだろう”と、非正規雇用の女性を軽視してきた結果でもあります」(竹信さん)
そもそも日本の政治は女性に目を向けてこなかった。同志社大学大学院教授で経済学者の浜矩子さんは、こう話す。
「自民党の言う女性活躍というのは“デキる女性が前に出る”というイメージです。そうではなく“いま苦しんでいる女性たちを救済する”というのが、本来あるべき姿です」