値上げラッシュが止まらない。5月の東京都区部の消費者物価指数の総合指数(中旬速報値)は前年同月比2.4%の上昇。光熱費やガソリン代も高騰が続き、あらゆるものが値上がりしている。経済ジャーナリストの荻原博子氏が語る。
「世界的な資源高にウクライナ危機、円安などが相まって、物価高騰の終わりが見えません。これまで日本のメーカーは商品の中身の重量を減らす“ステルス値上げ”などで価格を据え置きましたが、電気代や飼料代、運送代などあらゆるコストが増しているため、企業努力は限界に来ている。今後はコストを価格に転嫁せざるを得ない企業が増えるでしょう」
帝国データバンクのアンケートでは、回答のあった1701社のうち、今年4月から来年6月ごろまでに値上げを予定する企業は、実施済みを含めて68.5%。今年4月から5月の間に既に値上げした企業は42.3%に達している。
消費者は悪夢が続きそうだが、逆風に抗って歯を食いしばり、価格を据え置いている企業もある。
「私はもう82歳。私が経営している間は今の値段で続けるつもりです」
そう語るのは、静岡県浜松市にある『ぎょうざのひろかね』のオーナー・加茂宏司氏だ。
宮崎・宇都宮と並ぶ餃子界の3強である浜松で加茂氏が提供する餃子は持ち帰り専門。野菜が多く、シャキシャキした食感が好評の逸品である。
「餃子21個入り」「生肉巻き餃子10個入り」「お得用冷凍餃子25個入り」などの商品価格は、すべて税込660円。餃子の皮の原料となる小麦が高騰し、仕入れ価格は3割増しになったというが、加茂氏は「生涯据え置き」を宣言した。