値上げで“ボリューム感”の物足りなさが浮き彫りに
また、モスバーガーのボリュームに対する物足りなさを訴える声も多かった。
「たとえば、マクドナルドであれば、“安さ”が大きな魅力となっている一方で、ビッグマックのようなボリューム感のあるメニューもあります。しかし、モスバーガーの場合、安さを売りにするのではなく、野菜はすべて国産を使用するなど“素材へのこだわり”で勝負している。そうした中で、ボリューム感のある商品は少なく、それがウイークポイントだという指摘は以前から多い。
たとえば、最近では1000円以上する高級なハンバーガー専門店も人気ですが、そのほとんどがファストフードチェーンとは比べ物にならないくらいに、ボリュームがあります。でも、モスはファストフードとしては多少“高級”ではあるものの、ボリュームは“普通”というイメージ。今回の値上げによって、その弱点が浮き彫りになっている側面はあると思います」(小浦氏)
ただ、裏を返せば、ボリューム感のあるメニューを増強すれば、今以上に消費者から支持を得られるかもしれないということでもある。
「そもそもモスは、ファストフードの中では“高い”イメージがあるので、高額メニューを投入しても消費者に受け入れられやすい側面もあると思います。ボリューム感のある高級バーガーをラインナップすれば、消費者のニーズに応えることになるかもしれません」(小浦氏)
安さを売りにするバーガーチェーンであれば、値上げの影響は少なくなさそうだが、そうでないのであれば生き残りの選択肢も見つかるかもしれない。コスト高に対応するため厳しい状況にさらされている飲食業界だが、これが次なる方向性を見つける好機となる可能性もある。素材にこだわるモスバーガーが、今回の値上げを機にどのような方向に進んでいくのか、注目したい。